ヒロとユウ

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 普段『ヒロ』は比較的、朝に強いタイプで、すぐにはっきり目が覚めるのだけど。  むしろ朝に弱いのは『ユウ』のほう。  今朝こうなっているのは、『ヒロ』が昨夜遅くまで経理の仕事をしていたからだ。  つまり、夜更かしのツケ。  だが仕方がない。  経理は『ユウ』の苦手分野なのだ。むしろ下手に手伝おうとするほうが邪魔になる。 「ほら、起きろ」  だから自分にできることは、朝一番に美味しいコーヒーを淹れてあげること。  疲れをいたわるように、『ユウ』はその上に屈んでいた。  やっと現れた顔に、顔を近付ける。  とろんと眠たそうな『ヒロ』のくちびるに自分のくちびるをつける。  冬の折、部屋が乾燥していたのかくちびるは少しカサついていた。  顔を洗ったらリップクリームをつけてやらないとな、と思う。  それでもしっかりとあたたかかった。  眠って体温があがっていたからだろうか。  朝からこの感触は心地よかった。
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