150人が本棚に入れています
本棚に追加
/144ページ
普段『ヒロ』は比較的、朝に強いタイプで、すぐにはっきり目が覚めるのだけど。
むしろ朝に弱いのは『ユウ』のほう。
今朝こうなっているのは、『ヒロ』が昨夜遅くまで経理の仕事をしていたからだ。
つまり、夜更かしのツケ。
だが仕方がない。
経理は『ユウ』の苦手分野なのだ。むしろ下手に手伝おうとするほうが邪魔になる。
「ほら、起きろ」
だから自分にできることは、朝一番に美味しいコーヒーを淹れてあげること。
疲れをいたわるように、『ユウ』はその上に屈んでいた。
やっと現れた顔に、顔を近付ける。
とろんと眠たそうな『ヒロ』のくちびるに自分のくちびるをつける。
冬の折、部屋が乾燥していたのかくちびるは少しカサついていた。
顔を洗ったらリップクリームをつけてやらないとな、と思う。
それでもしっかりとあたたかかった。
眠って体温があがっていたからだろうか。
朝からこの感触は心地よかった。
最初のコメントを投稿しよう!