滝に溶けて声となれ

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 それから私は、開きかけていた心を、また閉ざした。  速水さんにあの言葉を言われた日、どうやって一日を過ごしたか、よく覚えていない。  彼のところへは「昨日はありがとう」と一言、お礼を伝えに行った。  でもそれは、自分でも不自然なくらいに素っ気なかったと思う。  その後も彼は、何度か私に声をかけようとしてくれた。でも私は、彼を避けてしまっていた。  そうして必要以上に話すこともなく、今までと同じ「日常」が流れていく。  でも私の心の中は、変わってしまった。    彼の姿を見るだけで胸が苦しくて、どうしようもなく辛い。  自分の部屋に帰ると、涙で枕を濡らす。そんな日々が続いた。  私はきっと、ずっと前から、「俺と学級委員だったら苦労しないから」って言ってくれた時から……好きだったんだ。君のこと。  でも、どうにもならない。  彼女がいるなら、告白したってフラれるだけ。  いや、そもそも彼に彼女がいなかったとして、私に告白する勇気はあった……?  枕を抱えたまま思いを巡らせ、自嘲する。 「なかったよね。最初から私に、勇気なんて」  いつだって、一歩前へ踏み出すことから逃げてきたんだ。  本音で相手と向き合わなきゃ、本当の意味で仲良くなることなんてできないのに。  嫌われたくなくて、傷つきたくなくて、いつだって自分を守ってる。 「あぁ、嫌い。大嫌い……」  嘘だらけの自分が、嫌で嫌でたまらない。  いっそのこと消えてしまいたかった。
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