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14.やっと会えたね
俺はやっと病室から出て退院することが出来た。
結局、1ヶ月きっちり安静にさせられて
解放されてほっとしていた。
これで七海に会いに行ける。
不覚にも携帯をなくしてしまい
連絡先がわからなくなってしまったから
1ヶ月も連絡が取れていない。
そのほかにもなくしたものはたくさんあるけど
七海だけは失いたくなかった。
「俺は本当に…。七海がいないとだめだな。」
そう呟くと、目の前に七海に似た人が通り過ぎる。
まさか、七海なわけないよな。
ついに会いたすぎて幻をみたか。
少し気になってあとを追いかける。
少し離れたところからでも分かった。
あれは七海だ!!!
「七海ーーーーーー!!!」
俺は出来るだけ大きな声で叫んだ。
振り返るとやっぱり七海だった。
七海は泣いていた。
「努!!!やっぱりここにいたのね!!」
七海は走ってきて俺を抱きしめた。
号泣している。俺も泣いた。
「会いたかったよぉぉぉぉ、うわぁぁん!!」
七海はいつも一度泣くと子供のように泣く。
泣き止むまで時間がかかるから
俺はそのまま一度七海を車に連れていき
退院手続きをして戻った。
まだ泣いていた。
「どんだけ泣くんだよ(笑)」
「だってもう会えないかもって思ったし
努がどこにいるかわかんないから心配だったし
それに入院までしてて嫌なこと的中だったし
不安で不安でしかたなかったんだよ!!」
七海は普段からおしゃべりで
こういうときは特に勢いが止まらない。
「で?なんで入院してたの??」
そうそう、さっき言ったけど、
そういう肝心なことは聞いてないんだよな(笑)
「メニエール病と・・・ 怒るから言いたくない」
低血糖になって意識失ったなんていったら
絶対に怒られる。
「ってことは、低血糖になったのね。
いくつ?」
「言いたくない。」
「心配させたんだから、いえ!!!」
「はい。39」
また泣き始めた。そうなると思っていたよ。
でも俺にも言い分がある!!!
俺はあのときショックを受けていたし
七海に気を取られて血糖値がさがってることに
気づかなかった。
でもそれを言ったら七海をまた傷つけるきがして
ただひたすらあやまった。
「心配かけてごめんね。泣かないで。
ちゃんと良くなって退院したから大丈夫。」
「やっと会えたね」
七海の笑顔が眩しかった。
この笑顔をずっと守りたいと思った。
俺はある決心をした。
もう二度と七海を離さない。
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