7.祝福と悲しみ

1/1
前へ
/16ページ
次へ

7.祝福と悲しみ

私にはもう一人親友がいる。 長男が小学生の時に出会った私の数少ないママ友だ。 もうかれこれ10年以上の付き合いになる。 名前は叶子。 叶子にはなんでも話せるし 人の恋愛のことはよく分かるから 私が暴走すると止めてくれる。 叶子と千佳と3人で女子会することもあって これがかなりおっさんトークになるのがおもしろい。 叶子は離婚をしてから ずっと年下の彼と付き合っていたんだけど 急に別れたと思ったら なんと10歳も年上の人と付き合い始めた。 おじさん嫌いで私のおじさん好きを笑ってたのに 突然おじさんに目覚めたらしい。 ほんとに運命なんてどこにあるか分からない。 「七海~!私、再婚するわ!!!」 突然の報告に若干めまいがした。 「え?だれと?」 「え?今の彼と」 あ、例のおじさんと? 「まじかー!!おめでとー!!!」 すごいビッグニュースに驚いたけど 叶子の彼は大手中古車メーカーの社長さんで 車好きの叶子と意気投合してそうなったらしい。 叶子はずっと再婚はしない!!って言ってたから なんだかほっとした様な、さみしいような…。 「もちろん結婚式するよね?ドレスきるよねー!?」 「もちろん!!来てね!!」 叶子の結婚式を見れるなんて、諦めてたから 嬉しすぎて絶対泣いてしまう。 千佳夫婦と私と努の4人で結婚式に参列した。 叶子は私が出会ってから今まで見てきた中で 一番綺麗で、一番幸せそうな顔をしていた。 私と千佳はもちろん号泣。 終始嬉し泣きしていた。 結婚式が終わって二次会。 店の隅に座り、努と2人で幸せそうな叶子を眺めていた。 私は嬉しすぎてお酒を飲みすぎてしまった。 「七海、飲みすぎ!!ふざけんなよ」 努が本気で怒る時、いつもふざけんなよっていう。 これはホンキモードだ。 「いいじゃん。めでたい席で怒らないの! ほら笑って!にこってわらってよ」 ほっぺたを触る私の手を払い除けた。 むかついた。 なんだかだんだん腹が立ってきて 今までの不安が一気に爆発してしまった。 「そういうときだけ俺の女みたいな扱いしないで くれる?私のことなんだとおもってるの?? こっちにくる度胸もないくせに、えらそうに 言わないで!!! 私の事なんてどうでもいいくせに!!!」 絶対に言ってはいけないことを言ってしまった。 もう後悔してもなかったことには出来ない。 お酒を飲みすぎたからとか言い訳も出来たけど 本心だったから否定もできなかった。 努は悲しそうな目をしてた。 私に失望したんだと思う。 「俺、かえるわ。」 その後すぐに努は最終の新幹線で帰ってしまった。 きっと悲しんでいる。 私の顔も見たくないだろうな。 次の日、毎日していたLINE通話も 仕事からの帰るコールも 初めて途絶えた夜を迎えた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加