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次の日学校へ行くと、まだクラスに澄江は来ていなかった。冴香は廊下に出て窓から外を見た。廊下の窓からは体育館が見える。もうバスケ部の朝練は終わっていると思うが気になった。すると廊下の向こうから澄江が歩いて来た。髪をばっさり切ってまるで自分を見ているようだ。冴香は動けなくなった。
澄江は無表情で近づいてくると冴香の手を引っ張ってトイレに連れて行った。
「ちゃんと四時に東公園に行ってよね。公園に行くまでは変身しなくていいから」
「うん、分かった」
澄江はそれだけ言うとトイレを出た。冴香は後をついた。教室へ入るとみんなが二人を見て騒ぎはじめた。あちこちから声があがる。
「澄江ちゃん、髪切ったんだー。冴香ちゃんとそっくりー」
「どっちがどっちだか分からねえな」
教室内のざわざわが止まらない。冴香は困ったような顔をして席に着いた。
一日が無事に終わった。あとは木田と会わなければいけない。冴香はブラウスの第一ボタンを外し、スカートのウエスト部分を三回折った。まだ時間が早いが読書でもしていようと公園に行く。小さな子供がアスレチックの中にある滑り台で遊んでいる。
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