瓜二つ

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「大人しいけど、朗らかな性格のいい子だよ。サッカー部でディフェンスをやっているって聞いた」 「冴香とは普段喋るの?」 「全然、席も離れているし、家だって逆方向だよ」  木田の家は冴香の住んでいる住宅街の反対方向で駅の近くにある。駅周辺は商店街や居酒屋、ビジネスホテルがあってまあまあ栄えている。冴香はよく商店街の団子屋さんに行くので木田に会わないかとどきどきする。 「ま、明日澄江ちゃんに訊いてみるのが一番だね」  冴香は頷いて立ちあがった。文香の部屋を出て自室に戻る。制服からボーダーの長袖Tシャツにダメージジーンズを穿いた。変身のことは忘れて宿題をやる。今度のテストもクラスで一位になりたい。  朝、目が覚めると大抵は五時だ。目覚まし時計のアラームは六時にセットしてあるので一時間早い。冴香は二度寝をしないでベッドから出る。一階に行ってミネラルウォーターを冷蔵庫から出すとグラスに注いだ。喉の渇きが癒えるとリビングのソファーに座ってスマホを見た。フリマアプリで欲しい本を調べる。図書室にはない本がいっぱいある。本はおもに月に三千円のお小遣いから買っているから中古があれば中古を買う。新書は母にねだって買ってもらっている。
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