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お出迎え
「おい、誰か港で手ぇ振ってないか?」
甲板に出ていた小野田くんが指差す方を見れば、確かに船着き場で手を降っている男女がいる。
気になって目を凝らした私は、激しいデジャヴに見舞われた。
【あれ? あの人たち、どこかで見たことがあるような……】
沢田君の心の声もあの二人に反応している。
沢田君と私の共通の知人!?でもあんな人、知らないはずなんだけど?
港で手を振る二人の男女。
男の人は小柄でハゲてて痩せていて、なんとなく頼りない感じ。
女の人は逆にどっしりしていて肝が据わった感じ。「おかん」って表現が似合いそう。
どちらも40代くらいかな?
そんな分析をしているうちに、船は港に着いた。
思い出せそうで思い出せない。
ものすっごく気持ちが悪い!
【ウェップ! くそっ、まただ、また罠だ!
前にこのトラップにかかったのは去年のバス遠足の時。何とか窓の外見てごまかしてたのに、「やった! 着いたぞ、逃げ切った!!」って油断した瞬間、バスはバックで駐車場に入った。
今までにないゆっくりな動きとバスの排気ガスとやたらと響くエンジンの振動で俺は最後の最後に殺られたんだ!】
沢田くんも気持ちが悪いんだね。物理的に。
※登場人物の詳細が気になる方は、
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https://estar.jp/extra_novels/25825434
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