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神様!話が違います!
下着メーカー【ミアンナ】の検査室に勤める藤堂芦花は、新作下着の日焼け検査を行うために今日も屋上に向かっていた
革新的な社風はいいけれど、おしゃれなオープンスペースを古めかしいバインダーを手に歩かなければならないのは、ただでさえ隠キャを自負している芦花にとって、苦行以外の何物でもない
華やかな人々の楽しげな笑い声を聞きながら、芦花はフロアを突っ切って、真っ直ぐに屋上の入口に向かった
いつも通り屋上で検査項目にチェックを入れていると、ふと、隣のビルの屋上にフェンスで囲われた古めかしい社があることに気がついた
芦花はスカートのポケットの中に、今朝同期から返してもらったランチ代の千円札が入っていることを思い出した
芦花はバインダーを置いてしゃがむと、地面の上で千円札を折り、ダーツの矢を射るように鋭く投げた
千円札の紙飛行機は一度上昇し、風に煽られながらもフェンスの中に落下した
「よし!」
自然とガッツポーズが出た
そして、
(一度でいいからイケメンと付き合いたいです)
と祈った
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