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プライバシーって知ってます?
「プライバシーの侵害です。ザラ先生!」
直接相手の脳に言葉を伝える伝心魔法を使えない俺は、勇気を出し、大きな声でザラに抗議した。
ザラ、知ってるか? 俺にもプライバシーっていうものがあるんだぞ。
……
……
……
……
……無視かよっっ!
ここにいてもダンジョン攻略はできないし、学園の始業時間に間に合わない。気を取り直し、薄暗い周囲を見渡してみる。現在地の確認が先だと考え、左手の人差し指に魔力を集め、光を作成。
ぼんやりとした明かりの中、現れたのは王宮地下の書庫。
書庫に落とされたのか……
顔を左右に動かし、出口を探す。奥に扉が見えたので歩き出すと、床に置いてあった本に躓き、なぜかカチリと機械的な音がした。
ん? カチリ?
その音と同時に両端に高く積まれていた本が俺にむかって一斉に倒れてくる。
王家の書庫だぞ! 罠を仕込むなっっ。
必死でよけながら……1、2冊は当たったけど……前に進む。
本の角って痛いんだからな。ホント、地味に罠を仕込むの止めてください。
扉にたどり着いた俺は取っ手に手をかけるが、鍵が掛かっていて開かない……デスヨネ。
さて、どうしたものかと考えていると、目の前にパッと紙切れが現れ、ヒラヒラ落ちてくる。俺はそれを拾い、目を通す。
――次の7冊の本を集め、題名の頭文字を並び替え、意味のある台詞を作ること。それが扉の鍵を開ける呪文となる――
…………なんだ? この罠は。謎を解けってか? 今までは体力勝負、魔力勝負の罠ばかりだったのに、頭脳勝負も加えやがった。趣向を変えたのか? ホント、次から次へといろんな罠を考えるなぁぁ……
床に座り込み、大きく溜息をつく。「よいしょ」と腰を上げ、紙切れにもう1度目を通した。
さて、始めるか。
記されている本を求め、明かりを照らしながら、俺は書庫内を歩き回った。
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