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だって健全な男だし
もう、何、朝っぱらからやらされてんだよ。
学園に間に合わないじゃないかぁ。
とにかく探すしかないか……
えっと……「月女神がタンザに降りた伝承」「ナース大国滅亡手記」……と「んぱか族の歴史」「神殿系図」「けだるげな王」……なんだこりゃ? 「いい王子の育て方」……えっ? まさか教育本? なんなんだ? この本のチョイスは? えーと……最後はっと…………
「こどもの作り方」
!?
顔が一気に赤くなるのが、自分でもわかった。
なんでこんな本が王家の書庫に収納されてるんだよっ!
そりゃあ、大事だけど! 世継ぎを作るのも王族の義務だしな……でも、でも、王家の書庫に必要か!?
俺はチラッと本の表紙を見る……男女が抱き合っている姿が描かれており……俺もいつかはクラリスと……なんてことが頭をよぎり、更にボボボボッと顔が熱くなる。
本を両手で持ち、じっと見つめてしまう。
な、なにが書いてあるんだろうな……うっ……き、気になる……俺も男だし……気になって当然だよな……
本に手を置き、ドキドキしながら表紙を開こうとした時……突然、俺の脳裏にクラリスの姿が浮かび、ブルーの瞳でじぃぃと見つめられた。
俺はなんだかイケナイコトをしているような気持ちになり、葛藤の末、表紙を開くのを止め、静かに本を置いた…………
……
……
……
「うぉぉぉぉぉ!! なんだこれ!? なんだこれ!? なんだこれぇぇぇ!? 健全な男が興味を持ってなにが悪いんだぁぁ! でもクラリスに嫌われるような事は絶対出来ないぃぃ! なぜ、俺にあの本を手に取らせた? 攻撃か? 攻撃なのか? 新手の精神攻撃なのかぁぁ!?」
俺が頭を抱え、悶々とした気持ちを吐き出すべく、叫んでいると、後方から何者かの気配を感じ、口をつぐむ。
「ミーチャッタ、ミーチャッタ」
「!?」
振り返ると、レモン色の小鳥がパタパタ飛んできているのを目が捉えた。
あぁ……厄介な奴に見つかってしまった。
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