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「フタバです。
よろしくお願いします」
やる気がないのを顔に出ないように、笑う。
その私の笑顔を受け止めるように笑う眞山さんは、
第一印象は素敵な人。
そうやってお金持ちの家に生まれ、
わりと容姿も良くて、
世の中にはこうやって全てに恵まれている人も居るんだな、と思う。
「学生さんですか?」
見た感じ成人はしているのだろうけど。
私と同じ年か、一つ上って感じ。
「うん。そう。一応真面目な学生。こう見えてK大学」
さらっと出されたその大学名。
この人は、頭脳にも恵まれているのか。
「けど、ここに座る前に、俺の事はもうけっこう聞いてるでしょ?」
その言葉に、ギクッとした。
「だから、フタバちゃんの事教えて」
「私の事ですか?」
「そう。
永倉組の若頭の女だっていうのは、もう知ってるけど」
そう言われ、店の奥の方へ目を向けると。
そこには、以前ロッカーの前に居る私に、嫌味を言っていた子達の一人が居た。
そして、こちらを睨んでいる。
私の前に、あの子がこのテーブルに座っていたから、
話したのはあの子?
視線を眞山さんに戻すと、相変わらずニコニコとしているけども。
けど、そんなヤバい女なんかを、絶対に指名しないだろう。
普通、ならば。
もし、眞山さんが普通じゃなければ?
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