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あのヤクザ達との約束だった、3日後。
火葬した父親の納骨を済ませ、弟と帰宅する。
あのヤクザ達が言っていたように、父親は貯金を全て使い込み。
入っていた生命保険も積立金目当てにずいぶんと前に解約していたから、
父親が死んでも一円にもならず。
自殺だから、死亡保険は下りなかったかもしれないけど。
父親の葬儀は、直葬にした。
そのお金も、父親の兄に肩代わりして貰うという形で。
そして、この先父親の法事等するつもりもないから、49日を待たずに、
さっさと納骨した。
その墓は、父親の両親と母親も眠っている。
日が沈み、辺りが薄暗い今。
我が家の前に止まっている、黒塗りのベンツ。
「―――姉ちゃん…」
碧斗が、不安そうに私の喪服の袖を掴む。
そのベンツの後部座席のドアが開き、
永倉二葉が降りて来る。
日が落ち始めたこの暗闇が、この男にはよく似合う。
「約束の3日だ。
一千万円用意出来たか?」
「父は、死にました」
私の言葉に、眉すら動かさない。
この人、人が死んでもなんとも思わないんだ。
「自殺か?
父親が死んだなら、その子供に払って貰うだけだ」
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