沈む、恋。

その、時。

改めて、思う。

父親は、自殺した。

どうせ死ぬなら、家じゃないどこかで死んでくれたら良かったのに、と。

あの後、警察を呼んでから、何時間も家中色々と調べられ。

あの時、この人ともう一人居た英二って人が父親の顔を踏んで怪我さしたりするから、
私や弟が殺したんじゃないかと少し疑われて面倒だった。

司法解剖とか、されて。

そして、火葬が今日になった。

それに、私達が住んでいる所は社宅だけど、父親と同じ会社の単身赴任になった家族の所有しているものらしく。

今回、父親が家の中で死に、事故物件になってしまった事に対して、
その所有者に詫びの電話を入れて欲しいとか、
父親の会社のナントカさんに昨日言われた。

その社宅のこの家も、近いうちに出て行って欲しいと言われている。

父親の両親は鬼籍だし、
母親は独りっ子で昔から両親と仲が悪くて、
私も碧斗も、母親側の祖父母に会った事がない。

唯一、父親の兄だけは交流があるけど、
その伯父さんには伯父さんの家族があって、とても私達の面倒迄見て欲しいとお願い出来ない。

この先、私と碧斗はどうしたらいいのか？

今、困っているのは馬鹿な父親のせいなのだけど、
目の前のこの男が悪魔のように見えて、睨み付けてしまう。