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「それにしても、奥村さんって本当に頭悪いよね。
あれだけ二葉さんが必死に奥村さんの事遠ざけたのに、
結局はまた二葉さんの所に戻って来て。
またあの街で働いたりして」
「え?」
「バレンタインの日、奥村さんが二葉さんのマンション入って行くの見たから。
ほら?あの日、俺と組の奴もう一人と、二葉さんの事見張ってて」
あの日、そうやって永倉二葉のマンションに入って行くのを、この人に見られていた。
けど、気になるのはそこじゃなくて。
「永倉さんが、私を遠ざけていたって…」
それは、私があの人を好きだと言ったからなのだろうけど。
それ以上に、意味があるように、英二の言葉から感じた。
「前に二葉さん、どっかの組の奴に撃たれたの知ってる?」
「あ、はい…」
それがいつなのかは知らないが、
その傷で高熱が出ていたのは、知ってる。
「その発砲は、多分竜道会辺りだとは思うんだけど。
それに加え、高崎さんの組とも最近特に一触即発だったから。
そうやって、段々と自分の周りが騒がしくなって来て、女を近くに置けないって思ったんでしょ?
巻き込んでしまうから」
英二の言う、それが本当ならば。
私を危険にさらさない為に、わざと?
「俺に奥村さん襲わせたのも、奥村さんの事なんとも思っていないってアピールでしょ。
ほら?俺と高崎さん繋がってるから。
高崎さんに対して」
そう聞かされる言葉は、私にとって都合の良い事ばかりなのに。
胸が苦しくて、痛い。
「けど、それで余計に俺確信したけども。
だって、あの時、二葉さん途中迄全然勃ってなくて」
確かに、あの時は、この人の言う通りだったけど。
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