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「後、もう一つ教えてあげる」
「…なんですか?」
そう訊くけど、訊かない方がいいんじゃないのか、と思ってしまう。
「多分だけど、眞山の坊っちゃん、二葉さんと繋がってるよ」
一瞬、その意味が分からなかった。
「勿論、堂々とお友達ではないんだけど」
あの喫茶店で私が見た感じ、永倉二葉と眞山さんが元々の知り合いには、見えなかったけど。
でも、眞山さんは、永倉二葉のあの店に時々来ていたみたいだから、
顔見知りでもおかしくはないかもしれないけど。
あの店に、時々来てた…。
「二葉さん、眞山の坊っちゃんとの関係は、多分ごく一部の人間にしか話してないと思う。
勿論、俺も知らない。
けど、そうやって秘密にしてても噂のようなものは流れるもので。
眞山の坊っちゃんが、二葉さんに何か頼み事がある時にあの店にやって来て、店長の佐伯を通して二葉さんに依頼してたみたい。
その謝礼代わりに、あの店で大金を落としてるみたいだけど」
佐伯店長…。
彼は、目の前の英二と違い、永倉二葉に忠誠心があったように見える。
永倉二葉も、そんな佐伯店長を信頼していた。
そう思うと、その噂話も真実味を帯びて来る。
「だから、逆に二葉さんがお願いして、奥村さんを眞山の坊っちゃんに押し付けたんだと思う」
"ーーただ、美帆子を永倉さんから引き離して悪かったな、ってーー"
別れ話の時の、その眞山さんの言葉。
今の話を聞いた後だと、また違って聞こえる。
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