その、後。

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「なんで、色々私に教えてくれたんですか?」 「どんな顔するかな?って。 もう、分かってるでしょ? 奥村さんがまた二葉さんの所に戻って来なければ、 二葉さんは死んでなかったかもしれない。 少なくとも、奥村さんのせいで二葉さんは死ななかった」 こらえきれないように、英二は声を出して笑い出す。 「あのバレンタインの日が、決定的。 やっぱりまだこの二人、って。 だから、奥村さんはまだ二葉さんを呼び出すのに使えるって」 目の前で、楽しそうに笑うこの人の声を、 私はどこか遠くで聞いていた。 「あ、ピアノいらないなら、また言って? その時は、俺がどっかに売るから」 英二はそう言い残して、駅の方ヘ向かい消えて行った。
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