彼の、事。

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連れて来られたその店は。 S町で有名な歓楽街にある、商業ビルの2階。 "CLUB BLUEHEAVEN" それが、この店の名前。 永倉二葉と一緒に店に足を踏み入れるが、まだオープン前でシンと静まっている。 電気はついていて、広い空間に椅子やテーブルが沢山ある。 店の奥にある、スタッフルームヘと連れて行かれる。 「二葉さん。おはようございます」 そこには、先に一人の男性が居て。 30代前半くらい? 「この店の店長の佐伯(さえき)。 お前の担当をして貰う。 だから、何かあったら佐伯に言え」 永倉二葉からそう説明を受ける。 その人は、佐伯さんでこの店の店長で。 私の担当…マネージャーみたいな感じ? 「後、アヤノは?」 「アヤノさん来てますよ…、ほら?」 佐伯さんがそう言うと、 スタッフルームに一人の女性が入って来た。 うわぁ、と声が出てしまうくらいに、その女性は華やかで、綺麗。 この人が、アヤノさん? 「あぁ。あなたが永倉さんが言っていた、あれ?」 その女性は、チラリと私を一瞥し、 永倉二葉に視線を向けた。 「ああ。 とりあえず、使えるようにしてくれ」 「はーい」 アヤノさんは、また私に視線を向けた。 「佐伯、アヤノ、後頼む」 永倉二葉は、そのままスタッフルームから出て行った。 もしかして、もう帰ってしまうの?
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