彼の、事。

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「とりあえず、仕事の話するから、 奥村さんは残って。 アヤノさんは同伴あるんでしょ?」 店長の佐伯さんがそう言うと、アヤノさんは、じゃあまた、とスタッフルームから出て行った。 「アヤノさんは、今月一杯でこの店辞めるから。 その間、アヤノさんに付いて仕事を覚えさせろって、二葉さんが」 アヤノさん、辞めるんだ。 さっき話した感じでは、私の父親の事で罪の意識とかは無さそうだから、それが理由で辞めるのではないだろうけど。 ただ、なんとなくアヤノさんは苦手だから、どんな理由かは知らないけど、 辞めてくれるのは良かったと思ってしまった。 店長とテーブルを挟んで座り、仕事について等、色々と説明を受けた。 私はこれから、ほぼフルでシフトに入り。 そして、給料については、いくら稼いでも、10万円しか支給されないと。 「後は全額給料から引いて、二葉さん所への返済に充てる事になってる」 それに、えー、と言いたい気持ちはあるけど。 ただ、あの高級そうなマンションに住まわせて貰えて、 多分、光熱費とかも払わなくていいだろうし…。 そう思うと、納得出来るけど。
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