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「やっぱ、三流大学に通っているような娘は、バカだな」
その男は、クククと笑っている。
「そんな貯金があるなら、うちから摘まんでないでしょ?
それを使い切って、足りないから、うちに借りてんの」
英二の方が、それを教えてくれる。
そう言われなくても、本来なら考えればそれはすぐに分かる事だったはず。
なのに、それを考えつかなかったのは、
きっと、私が父親を信用していたからなのだと思う。
「…一体、何に?」
そんな大金、一体何に?
「主に、ギャンブルと女に貢いでたみたい。
女つっても、キャバ嬢に一方的に君らのお父さんが入れ込んで、店に通ってたみたいだけど」
英二のその言葉が耳に入って来るけど。
まさか、と父親を見てしまう。
仕事だと、毎日のように帰りが遅かったけど…。
「あ、そうそう。
お父さん、会社クビになってるみたいだよ。
ちょうど一週間前に。
あれだって?会社のお金を横領しようとしたのがバレて、それで解雇にされたって。
警察に訴えない代わりに退職金もナシで」
笑いながら話している英二。
確かに、ここまで来たら、もう笑うよな。
この家だって社宅なのに、会社をクビになったのならば、出て行かないといけないんじゃ…。
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