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私と美希は2人掛けのテーブルに着いた。 すぐには、真向かいに座る美希を直視できない。 「母さん、緊張してる?」 「……」 「自分の娘と会うのに緊張する母親なんているかな? あたしはもう恨んではいないよ。今年で35になったんだもの。いつまでも昔のことに拘ってなんかいないから」 恨んではいない……その言葉は私には重かった。当時はどれだけ私を恨んだことだろう。 20年前、私は家族を捨てパート先の店長と駆け落ちした。 そのとき、美希はまだ中3だった。
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