強火のススメ!!

5/5
前へ
/5ページ
次へ
中華料理屋を離れてすぐ、自転車が冷たい風を切り始める。 自宅のケーキ屋に戻るペダルは、今日は少し軽い。 「暑苦しー。」 鬱陶しそうにつぶやくけど、目元の泣きぼくろはキュッと引き上がっていた。 店の中に入ってすぐにスマホが鳴った。サヤカからだ。 「ちょっとー!すぐ来るって言ってなかったっけー!」 相変わらずの爆音の中、大声が電話口から聞こえる。 「ごめんごめん、もうすぐ行くって!」 エプロンを外しながらやっと出かける準備に取り掛かる。 「もうすぐってさー、ほんとあんた今どこにいんの?」 私は気がつけば満面の笑みで、元気いっぱいに答えていた。 「チャーハンの中だよ!」 いやまだ店かよ、と怪訝そうな声が電話口から響いた。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加