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「……あんたが素直に片付けられる対価として望んだっていう、あの要望か?」
あたしは、そのデスゲームから滑り落ちてしまった。
……ううん、自ら滑り落ちた。
全ては、掃除人と相まみえるため。
国に『いらない』と判断された人間を片付ける、命の片付け屋に真実を問うため。
そのためにあたしは命を懸けて……ううん、命を捨てて、ここにいる。
「理解に苦しむ。もう終わってしまったことを問い質すために、あんなことをしでかしたってのか?」
男は気だるげな表情を崩さないまま、覇気のない声で言った。
そんな男の言葉に、あたしの目元がピクリと跳ねる。
「終わったこと、ですって?」
「事実、終わっている。片付けはとうの昔に完遂され、関係書類は完了案件棚に移動済みだ」
「ええ、書類上ではそうでしょうよ」
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