「あたしは、知りたい」

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 あたしの家は代々の伝統で厳しく武術を叩き込まれるけど、あたしはその技を咲夜を守るために使おうって心に決めていた。  だから、兄弟やイトコ達が厳しい鍛錬に泣きを上げる中でも、あたしだけは歯をくいしばって耐えることができた。  苦しかったけれど、その苦しさを対価に咲夜を守ることができるなら、どんな苦しみだって甘美なものに思えた。  あたしの存在理由のど真ん中に、いつだって咲夜がいた。  あたしは、由緒ある家の娘で。  学業もそこそこできて、何より武芸の面で世間一般に認められていた。  そもそも『学生』であり『親がいる未成年』は、それだけで国に存在を認めてもらえる。  あたしの存在理由は、世間から見て十分認められるものだった。  だけどそれはみんな見せかけだけで、あたしの本質は全部、全部全部『花咲咲夜のため』だった。  あたしは、咲夜のためにいる。  そう思えるだけで、幸せだった。  なのに。
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