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夢
僕は毎日同じ夢を見る。それはなんの変哲もないものだったが何か違和感を感じていた。その夢は決まって夜の公園に行くところから始まる。そしてその後に公園を散歩して家に帰るという日常が夢になっているだけのものだ。だけどどうも気味が悪いのはこれからだ。家に帰ったらすぐにトイレに行くのだが毎回ドアが開かなくなってしまうのだ。開かなくなるといっても一時的なものに過ぎないから古い家だし建て付けが悪いのかなと思いながらしばらくドアをガチャガチャやっていると目を覚ましてしまうのだ。
こんなことが毎日続くと最初はなんとも思わなかった夢でも気味が悪く感じるのはしょうがないことだ。そんな事を考えながら1日を過ごすうちに夜になった。
夕飯を食べ風呂に入り、その後に寝ようとするが今日はどうも眠気がこない。夕食の時に飲んだコーヒーがまだ聞いているみたいだ。しょうがないから僕は家の近くを散歩でもしようと思い家を出た。夏とはいえ夜は涼しかったが歩くうちに汗ばんできたから風呂に入り直さないといけなくなる前に家に帰ることにした。家でパジャマに着替え布団に入ると丁度いい疲労感が心地いい。
そんな事を考えながら微睡んでいると急にトイレに行きたくなったから体を無理に起こしてトイレに向かった。用を済ませトイレから出ようとするとどうもドアが開かない。これまでは無かったのにと不思議に思ったが建て付けが悪いだけだろうと少し力を入れてドアを開けようとするがドアは動かない。僕はこれは夢の中ではないかと思った。毎日の夢で見ていた状況と全く同じだったからだ。そう思うといつも通りこれから目覚めるのだと思いドアから離れたが夢は覚めない。
どうやら今までの夢の続きを見せられているようだ。僕は丁度続きが気になっていたから良い機会だと展開を楽しみにしていたが何も起こらない。拍子抜けだと思い夢から覚めようと頬をつねったが何かおかしい。痛みは感じるし何よりドアノブが下がっている。誰かがこちらに入ろうとしているのか、あるいはもうすでに入っているのかは分からない。しかし恐怖するには充分だった。
早くここから出ようと思い必死にドアを叩くがびくともしない。この様子だとまだ入ってきているわけではないようだ。そう思うと心にゆとりができてずっと視線を感じていた後ろを振り返ってしまった。そこには何も無かった。
安心して目線を下に向けると便器の中でニンマリと歯を大きく見せて笑っている口と大きな目が僕をずっと見ていたのだった。
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