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 長女、泉の夫で弁護士の福谷浩輔、義弟の篠岡和之・惠美夫妻、丸篠専務の大沢道明、篠岡青羽の妻、歌織の証言の中には、事件解決への糸口となりそうなものはなかった。  晩餐会終了後、早々に篠岡邸から引き上げた福谷と和之夫妻、それから大沢は、ひばりの逝去を受けてとんぼ返りしてきたばかり。青羽や子どもたちと今夜は篠岡邸の客間で一泊する予定になっていた歌織は、紀代子、翠とともに晩餐会の後片づけを終えるなり、風呂から上がってきた子どもたちの世話に追われたと話した。  晩餐会終了後、それぞれがそれぞれの一時間を過ごしていた。ひばりの寝室があるのは一階の東奥だが、リビングや二階からは離れていても、広すぎるがゆえに隙を見てこっそり近づくことはできそうだった。  やはり厄介なのは、被害者がどのような経路をたどってピーナッツを摂取したかという点である。誰にでも与えるチャンスはあったが、本人に疑われずして、また警察の目をかいくぐるような方法でとなると、なにかいい手があるだろうか。  その夜には結論が出ず、議論は翌日以降に持ち越しとなった。  事件から四日が経った今でも、答えは見つかっていない。
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