へーんしん(完結)

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 ところが、この呪文の効果は24時間!  24時間経つと元の俺に戻ってしまう。  初めてのデートでは、効力が失われる前に仕事で呼び戻され、親が倒れたと嘘ぶき、泣く泣くBlancちゃんと別れ、高尾山から北海道へ戻った。  若返っている時の俺は、東京芸大ピアノ科4年という設定になっている。  なぜなら、東京芸大ピアノ科の藤木教授は俺のリアル大学時代の親友。口八丁手八丁な彼を巻き込み、若返った時の俺のウソを巧妙にフォローしてもらっている。  二度目のデートでは、Blancちゃんとあわやランデブーという場面で、俺の冷静な判断(弱虫とも言う)により情事を回避。  その後、夕食の途中で魔法効果が切れ、俺はトンズラする羽目に!  本当に若かったらBlancちゃんの恋人になりたい。  本当に若かったらBlancちゃんと結婚して幸せになりたい。  だが、本当はオッさんだ!  この現実は変えられない。  3度目のデートはあるのか?!  この前、トンズラしてしまったから、もしかすると嫌われてしまったかも・・  それともBlancちゃん、藤木教授の毒牙にかかってなければいいが・・  藤木教授は常に7人の恋人と数えきれないガールフレンドをキープする好色一代男である。  7人の恋人達は、月曜から日曜まで順番に、毎週一度のランデブーを楽しみにしている。  もちろん彼女たちは、藤木教授の恋人はだと信じている。  それだけでも驚くべき体力(苦笑)の藤木教授であるが、なおも飽き足らず、たまにつまみ食いする様々な魅力にあふれたガールフレンドを常に 100人はキープしている。  そのガールフレンドたちは、藤木教授のことなど、どうとも思っていない。  風変わりなオッちゃんで、時々急に飲みに連れて行ってくれたり、お小遣いをくれるから、ま、付き合ってやるか、そんなところだ。  なぜ、わかるのかって?  リアル大学時代。  藤木の野郎がしばしばデートの約束をダブルブッキングして、俺が何度も身代わりに謝りに行き、彼女たちのご機嫌をとって来たからだ。    俺と藤木は、そんな気心の知れた悪友であるが、まさか40歳にもなって、こんなトンデモナイ支援を受けることになるとは!      
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