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これでよし。
今から24時間経てば、魔法の効力が切れる。
ふっふっふっふっ・・
明日の夜9時半過ぎるまで、俺は演奏し続ける。
観衆の目の前で、俺は39才の自分に戻るんだ!
聖夜の俺からのビッグ・プレゼント!
Blancちゃんに、俺は若さという幻想の皮を脱ぎ捨て、39才男盛りの俺の素顔をプレゼントするんだ。
いや、Blancちゃんはもう、そこに現れないかもしれない。
仕方がない。
今まで通り孤高の一匹狼として肩で風斬って生きるまでよ。
エブリスタにも未練はあった。
Blancちゃんだけじゃなく、そこには大切な友だちが大勢いる。
自分の人生観をさらけ出し厳しい審判を受けることができるエブリスタ社会は、まさに人生の修行道場だ。
友と切磋琢磨し、自己研鑽する厳しくもあたたかい日々だった。
身バレすりゃ、すべてが水の泡か・・・
まあ、しかし・・・
冷静に反省するなら、若返りたいと思った俺の心に隙があった。
若いBlancちゃんと、たった一日でも楽しい時間を過ごしたいという甘い考えが破滅を招いたのだ。
初めから正々堂々ありのままの自分で勝負すべきだった。
俺は若くない。
けれど若くないという事実は、罪ではない。
ただ生まれて39年の月日が流れただけ。
その現実を恥じる必要はない。
精一杯、生き抜いてきた自分の軌跡に誇りを持とう。
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