愛しい時間

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「ではクイズです! 第一問、今日は何の日でしょう?」  チッチッチッと急かすように秒針の真似を始めた僕に向かって、焦ったように手を挙げて。 「ハイッ!! 私と瑠衣が付き合って3年記念日です!」 「正解! さすがです、美羽さん。ただ答えはもう1つあるでしょ? 第二問、ヒントは、なにかの2年記念日、さてそれは?」 「ハイハイハーイ!! 私たちが一緒に暮らし始めて2年記念、だよね?」 「正解です! では正解者の美羽さんには、景品としてこちらを授与いたします、どうぞ」  後ろ手に隠していたブーケを、彼女に手向けた。  彼女が好きな、白い薔薇とアイビー。  美羽は目を輝かせて、微笑んだまま花の一輪、一輪を愛しむような目をしながら受け取ると。 「まるで、花嫁さんのブーケみたいだね」 「ピンポーン!! 三問目まだ言っていないのに、なんでわかったの? 大正解です」 「え?」  胸ポケットに隠し持っていたものをテーブルの上にコトンと置いた。  掌サイズの真っ白な箱、蓋を開いたら中からペアリングが顔を覗かせた。  キャンドルの灯に反射するように、淡く優しく輝いた小さな方の指輪を取ると彼女の左手を握る。 「僕と結婚してください」  君と出会って、天真爛漫な明るい笑顔に惹かれた。  おっとりしているようで、時々とんでもないあわてんぼう、焦った顔も愛しくて。  誰よりも僕を想い、優しい人。  クイズや謎解きが二人とも大好きで、ミステリー小説が旅のお供。  側にいたい、このままずっと側で、なんて。  初めて湧いた感情を形にするのなら、やっぱりこれが一番自然だった。
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