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あるカップルが、めでたく結婚したとしよう。
幸せいっぱいの彼らが次に思い描くこと。それは多くの場合──。
ベビーの誕生、である。
「結婚したら早く赤ちゃんが欲しいなあ」
「絵美は、男の子と女の子どっちがいい?」
付き合ってきた男たちは皆、こんなことを言った。
愛する男性にこんなことを言われたら、大抵の女子は胸をときめかすことだろう。
──ああ。私のこと、そんなに真剣に考えてくれているのね。
──なんて幸せなの! 私も、あなたの赤ちゃんが欲しいわ。
などと、キラキラした目で答えるのだろう。
しかし!
私が、その辺の女のようにホイホイ喜ぶと思ったら大間違いだ。
私の場合。
そんなことを言われたら、胸が悪くなり全身に虫唾が走る。
つまり。
私は、それくらい赤ちゃんが怖いのだ……!
弱々しい。とにかく、何もかもが心許ない。
壊しそう。潰しそう。これが本当に同じ人間だろうか。
そう思うと、じわじわと恐怖が沸いてくるのだ。
言葉も通じないし、すぐ泣くし!
ところが、だ。
私が付き合ってきた男たちは揃いも揃って赤ちゃん大好きで、将来はたくさんの子供に囲まれて暮らす夢を持っていた。
そんな夢をほのぼのとした笑顔で語られたら発狂してしまう。
「やめて! 子供なんて冗談じゃないわよ!」
「要らない! 私は絶対にイヤだから!」
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