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突然に、辺りがビカッと光った。稲光だった。
ポツポツと地面が濡れ始めたと思ったのも束の間、あっという間にどしゃぶりになる。
何故だ。
何故こんな日に、こんな悪天候になるのだ。
まるで、私が惨めな女だと言わんばかりではないか。
自業自得。
昌也を冷たく変貌させてしまったのは、他でもない私だ。
麻由子は、そんな男の方が残念なのだと言ってくれた。しかし。
パニックを起こして怒号を上げる私を、昌也はどんな思いで見ていただろう。
将来への真剣な気持ちがあったからこそ、昌也は赤ちゃんの話をしたんだろう。
私もまた、昌也の気持ちを否定したのだ。
だから、別の女の気配が漂い始めても何も言えなかった。
神様。
ベビー・アレルギーの女は、結婚願望を持ってはいけませんか。
結婚したら、子供は必須なんですか。
神様。
麻由子が言うように、自分の子はアレルギーの対象外かもしれません。でも、生んでみなきゃ分からないんですよね。
さすがに責任持てません。
神様。
ご存知ですか。人類が皆、無条件に赤ちゃんを愛でられるとは限らないということを。
暗い部屋に立ち尽くしても、神の返事が降って来よう筈もない。
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