【短編】見上げた空に 晴れ間と雨雲

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付き合っている相手を事故で亡くすなんて、私には縁遠いことだと思ってた。 「早く結と一緒に暮らしたい」「俺、仕事頑張るね」 そんな小さな幸せがずっと続くと思ってたのに。 「結が一緒に乗ってなくて良かった」 両親は私にそう言った。親だもの、そう思うのは当たり前。 "乗っていたかった"そう思ったこともあった。 "私が乗っていれば事故に遭わなかったかも"って。 「バカなこと考えるなよ。俺はお前が心配だ」 ご飯が喉を通らず、日に日に痩せていく私を心配して、昔から妹のように可愛がってくれていた甲斐(かい)くんが毎日のように顔を出しては「飯を食え」って怒ってたっけ。 甲斐くんは隣家に住む3つ上の幼馴染で、紘二のことも可愛がってくれていた。 「紘二の分までお前がしっかり生きて、一分一秒無駄にするな」 もちろん頭では理解してたけど。一人暮らしをしていた紘二が寂しくないようにとプレゼントした大きなクマのぬいぐるみ。 「結だと思って一緒に寝よ~っと」 そんな無邪気な声がすぐそこで聞こえてきそう。 彼の家にいたぬいぐるみは今、私の部屋で寂しく座っている。
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