おんせん

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 兄貴と一緒に、もう一度温泉に浸かる。  たまたま人のいない時間だったのか、それこそ貸し切りのような状態になっていてとてもいい気分だ。  「わあ、空いてるねえ。こうしてると、家族四人で箱根に来た時のことを思い出すね。あの頃は、みな君がこーんな白豚ちゃんみたいでさ…。でも、楽しかった。いつか、またお母さんと一緒にここへ来たい」  「来れるさ。また、家族みんなで…」  「うん。それと、叔父さん夫婦とゆかり姉さんと。あとサクちゃんと翠山さんと黒須さんとせっ君となゆちゃんと福山さんと龍之介くんと、それから…」  「多ッ!一人でも濃い奴らなのに、収集つくのかそれ…。あのさ、みんなでワイワイってのもいいけど。おれとしては、いつか兄貴と二人きりでゆっくり来たいな…。バイトして、金稼げるようになったらさ」  「そうなの?そんなもん、お兄ちゃんがバイト代稼いで連れて行ってあげるじゃん?」  「そ、それじゃ駄目なんだよ。おれ自身の力で、一緒に行きたい…」  「ふうん?そうなんだ。兄思いの弟で、嬉しい限りだなあ…。えへへ。その時は、たっぷりサービスしてあげるから」    そう言って、湯船の中でおれの手を繋いでくれた。
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