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僕の家には天使がいる。
「ねえ、ご飯だよ、ごーはーんー!」
彼女は布団にもぐって出てこない僕にしびれを切らして食事の催促に来たらしい。
ゆさゆさとカタツムリになっている僕を揺さぶって起こそうとする。
「わかった、わかったからやめろって」
彼女が暴れるとそこら中に鳥のような羽が飛び散る。
どこからかって? それはもちろん、彼女の翼からだ。
真っ白で一点の曇りもない、まさしく純白の、鳥に似た小さな翼。
それが一対、彼女の背中に生えていて、パタパタと動くたびに羽が舞い散るのだ。
「もー、早く来ないと君の分のオムレツ、私が食べちゃうんだからね!」
そう言い残してパタパタと部屋を出て行く彼女。
――昼飯を食いっぱぐれるのは勘弁だ。
僕は上着を着ると、もそもそと布団からはいずり出るのだった。
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