105人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
という訳で、思い立ったが吉日。すぐさまベッドからスマートフォンを拾い上げて検索開始だ。便利な世の中である。
早速コドクのオフィシャルサイトを見つけ、侵入する。メンバー紹介の項目を開けば、一番上はボーカルだった。真ん中の紫だ。名前は蓮というらしい。のちほどゆっくり見ることにして、指で画面を上へと送る。
──来た。蓮の次に現れたのは、お目当ての赤君だ。
色白で端正な細面。動画では黒髪に赤のメッシュだが、この画像は毛先が赤いアシンメトリーな金髪だ。これもこれでよい。その長めの前髪の奥で、どこかあどけなさを残した瞳がこちらを真っ直ぐに射抜いてくる。
「……」
これは是非待ち受けにしようと画像を保存しつつ、彼のプロフィールに目を落とした。
『輝星 パート:上手ギター 誕生日:七夕』
輝く星と書いてヒカル。誕生日に因んだのだろうか、何と綺麗な名だろう。
そして何より響きがいい。ヒカルと言えばヒカルゲンジ。勿論ローラースケートのしゃかりきコロンブス君達ではなく光源氏、光の君である。対するあたしはその妻、花散里。つまりは、出会うべくして出会ったということ。
と、暇人らしく非常に下らないこじつけを展開させていれば、
「お前ら一旦黙りなさい」
完全に忘れ去っていたいっちゃんの声が再び耳に飛び込んで来て、はっと我に返る。そう言えば、この声の主は五人の内の誰なのだろうか。慌てて顔を上げてみると。
「て訳で、今日のお題これね」
喋っていたのはなんと輝星だった。あたしの光の君と声がそっくりだなんて、いっちゃんはやっぱりいけ好かない。
最初のコメントを投稿しよう!