翼が欲しかった少女の物語

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「ごめんね。実はこれ、ダブルデートなんだ」 皆で遊びに行くとだけしか聞かされてなかった。 (だったらどうして誘ったの?) そう言えたらどんなに楽だろう。 だけど、私はこのクラスではほとんど話す相手がいない。 「分かった」 結局、無難な言葉を返すしかなかった。 「ごめんねー」 その言い方からして全然悪いと思ってないのは丸分かりだったけれど、軽く頷いておく。 敵は作りたくないから。 「どうだった?」 「うん、納得して貰えたよ」 「当たり前じゃん。園崎さん、彼氏いないしー」 離れたところだから聞こえないとでも思っているのか知らないけど、教室内だからメッチャ聞こえてるし。 「いやまさか、『うん』って言われたときはマジびっくりしたわ。え、彼氏いるの、ってさ」 「あ、それ思った」 「ウチも」 笑い声が鬱陶しい。 (消えれば、いいのに)
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