翼が欲しかった少女の物語

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それに対して否定するつもりはない。 だけど、その言い方だと久我さんが軽く扱われているような気がして面白くない。 (ああ、そうか) 「そうですね」 「ちょっと認めたわよ」 「だったら話は早いわ。いい? 久我さんには……」 私は怖じ気づく前に、とやや早口で告げた。 「私はその人のことが好きですから」 言い終えると、場に微妙な沈黙が漂った。 「はぁ? ふざけてんの? あんた今日が初めてっぽいけど」 「お店には初めて来ました」 わざと含みのある言い方をすると、 「もういいよ。行こう」 「え、ちょっと」 呆れたのか、二人共気が削がれた、とでもいうふうに引き揚げて行った。 (助かった) こういうのって疲れるな、と路地の奥へ視線を向けると、何故か私の方を睨む女性の姿があった。 「何で邪魔したの?」 (え?)
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