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「折角あの女達の化けの皮、剥がしてやろうと思ってたのに」
先ほどまでとは百八十度変わってはきはきと話す彼女が取り出したのは、録画状態のスマートフォン。
「実録!! 人気店員の私設ファンクラブの暗部とか、いろいろ考えてたのに」
余計なことしないでよ。
そう捨て台詞を吐くと彼女も路地から去って行った。
(嘘でしょう)
ひとり残されて呆然としていたとき、斜め前の小さな鉄の扉が開いた。
「おや」
(え、何でここにっ!?)
完璧な美貌を前に固まっていると、何かを察したのか、
「ここね、分かる人はあんまりいないんだけど、店の裏口なんだ」
その困ったような笑みに、ふとイヤな予感を覚える。
「まさか……」
久我さんは焦げ茶の瞳を軽く伏せて、
「ごめんね。聞こえちゃったよ」
(ひぇっ)
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