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(私は馬鹿だ)
午後の早い時間、私は駅前で信号待ちをしていた。
せめて夕方とかだったら良かったのに。
きっとこれからなのだろう。
駅から流れ出る人達の方が多く見えた。
(私は終わっちゃったけどね)
済まなそうにこちらを見る久我さんの様子から、全てを悟った私の口から出たのは、
『やさしくふって下さい』
(本当に馬鹿だな)
『ごめんね、』
その先は聞けなかった。
聞くのが怖くて逃げ出してしまったから。
(やっぱり恋人とか、いたのかな)
何て無駄なことをしているんだろう。
私、園崎貴由には友達がいない。
学校の成績もイマイチ。
容姿も普通。
こんな私が消えても、多分誰も泣かないだろう。
だって、家には妹がいる。
成績優秀で運動神経もよくて、友達も多い。
何も困ることなんてない。
そう思ったら足が動いていた。
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