翼が欲しかった少女の物語

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「園崎はそれでいいんだな」 「はい」 進路相談。 私は経済学を学ぶことにした。 周りには驚かれたみたいだけど、喫茶店を経営するなら必要かもしれないと思ったから。 コーヒーの淹れ方も練習しているが、理由は話す気はない。 もうあのお店に行くことはないだろう。 さすがにあそこまでみっともないところを見られてまで通うほど、私の心臓は強くない。 そうなるとあのコーヒーが飲みたくなった。 ((なん)か同じ味にならないんだよね) あの時はお店の雰囲気に当てられていたこともあったかもしれないが、それでも少し位似てもいいのではないか。 (コーヒーは最後まで淹れると苦味が出るから) 検索で得た豆知識を駆使してチャレンジしているのだが、今のところ連戦連敗だった。 (それでも、いつかは) どこかほっとするあの湯気と深みのある香りを自分の手で作り出してみたい。
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