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「沙耶はほんと恋愛脳だよな。もしくはラブコメ脳」 「優くんにはロマンが足りないよね。この漫画貸してあげようか」 「できれば1巻から貸してくれ」 「97巻まで出てるけど」 「ながっ」  ロマンチストへの道のりの長さに辟易していると、沙耶はもう一度小さく笑う。  そして、すぐに笑みを消した。 「……ねえ優くん」 「どうした?」 「今日はただ遊びに来たわけじゃなくてね」    雰囲気が変わる。  今までのトーンとは明らかに違う声音に、嫌な予感が背中を走った。 「話があるの」    それから僕は「高校に入学したら話そうと思ってたんだけどね」という前置きから始まる沙耶の話を聞いた。 「先に言っとくけど、泣かないでね」 「それは僕のセリフだよ」  そう言うと、彼女は悲しい顔をした。  僕は今日入学したばかりだというのに、卒業したくないなと思った。
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