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「……いえ、皆さん、お花屋さんのわりに体格がいいな、と思いまして」
「え?」
咲の答えに、花音が目を瞬かせた。
「あの、さっきの宮田さんって、お花屋さんなんですよね?」
「は?」
花音は首を捻り、混乱した顔をする。
「え? だって、花音さんの元同僚なら、お花屋さんなのでは……」
「ああ」
それでようやく花音は合点がいったとばかりにうなずいた。それから、プッと小さく吹き出す。
「どうして笑うんですか?」
咲はムッと頬を膨らました。
「い、いや……だって……」
花音は耐えきれず、声を上げて笑う。お陰で再び注目を浴びてしまった。
花音は、しまった、というように笑いを収め、周囲に頭を下げる。それから、咲に向き直り、「あの人たちは刑事だよ」と耳打ちした。
「え?」
驚いて花音を見上げたとき、ゆっくりと入り口の扉が閉じられた。途端に式場内はシーンと静まり返る。
だから咲は花音にそれ以上のことを聞けなくなってしまい、押し黙ったまま、前方の聖壇を眺めた。
チャペルの内装は白で統一され、それこそお伽噺にでも出てきそうなロマンチックな造りだ。白レンガの壁に白木のベンチ。ワンステップ高い聖壇の上の聖卓も白木造りで、細やかな彫刻が施されている。
聖壇の背後には大きなアーチ窓が設けられ、そこから差し込む光が柔らかく式場内を照らす。高い天井に吊るされたクリスタルのシャンデリアがその光を反射してキラキラと輝いていた。
聖卓の両脇の台を飾るフラワーアレンジメントも、ベンチ横の装花も白い薔薇と百合を使用していて、バージンロードの赤をより一層際立たせる。
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