第三話あの時の・・・

1/1
前へ
/2ページ
次へ

第三話あの時の・・・

父さんは、放浪して母さんの村にやってきた。 そのまま父さんは、村に定住したが、周りからは 煙たがれたと俺は、村の人々の噂話から推測した。 父さんは、人々に避けられていると俺とゲンに話していないが、同じ年の奴らが俺とゲンに吹聴してからかっていた。父さんは、前にも書いたが『鍵武』の一族の出だ。母さんがいた村は、全員が『然獣』の血が流れていたため、父さんはよそ者だ。だが、父さんがいなければ村は成り立たないと俺は知っている。父さんの元には、いつも故障した日用品が運ばれた。父さんは、日用品を直し、村の生活を少しでも豊かにするため新たな日用品を開発し、村に貢献した。俺は悔しかった。父さんが一生懸命取り組んでいる姿勢を認めず、他の種族という理由で差別する。俺も成長して、『然獣』の現状を知っているが、俺の目に映ったのは、同じ人同士が一緒にいることの安心感と他人を阻害する冷酷な仲間外れがどんな種族にも 少数民族でも共通しているという目を隠したくなるほどの現実だ。父さんは、あの時どう感じたのだろう?村の人々からの無視と自身の仕事が報われない現実。俺には荷が重すぎる。父さんにまた会えたら、聞けるだろうか? 俺とゲンも村の人々から無視された。しかし、俺は今では想像できないほど反骨精神を働かせていた。俺は、父さんとゲンそして母さんに恥をかかせないように『然獣』の力を鍛錬したり、勉学面で遅れを取らないように必死で取り組んだ。俺が村の中で優秀なら家族を馬鹿にできない。それに俺自身も父さんの遺伝なのか、母さんの遺伝なのか研究をするのが好きだった。ゲンと一緒に自分の力を高めて様々な実験を繰り返した。俺は、村の中の学校で上位を占める成績を収めるようになった。だが、少しヤンチャでクラスで騒動をたまに起こしていた。ゲンも一緒の学校に通ったが、 同級生のいじめにあい、学校に登校しなくなった。 俺は最初ゲンを説得したが、ゲンをいじめた同級生の意地汚い態度を知り、ゲンの登校拒否を肯定した。代わりに、俺がゲンに授業内容を教えた。 父さんも何も言わず、当時の担当の先生も登校を強要しなかった。家に閉じこもっていたゲンは唯一外に出る機会があった。俺も一緒に着いて行き その場所に向かった。その場所にはゲンの初恋相手がいた。名前はクジャク。この時まさかここまで長い付き合いになるとは夢にも思わなかった。 俺とゲンがクジャクに会った。離れた場所での一方的な出会いだけど。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加