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「歳は取ろごたなかもんじゃ
(歳は取りたくないものだ)」
おどけた口調でシゲヒサ。
因みにシゲヒサは数え年で今年634歳。
だがその肉体は、テイルウィップ家に伝わる秘術により、関ヶ原の合戦当時…27歳の頃のままに保たれている。
その秘術…言わば不老不死の法を編み出したのは、亜美の母でありイラブーにとっては祖母となるオパール。
伴侶と同じ時を過ごしたいという強い願いが、古代中国の某皇帝が喉から手が出る程に欲し続けた秘術を生み出したのだ。
「シゲ…
そげん事をゆたや豊あにょに笑わるっど?
(そんな事を言ったら豊兄さんに笑われますよ?)」
苦笑しながら亜美。
そして言葉を続ける。
「貴方にステガーマリーん術を使わせた程ん殿方じゃっで。
良か後継ぎ候補を見付けて来てくれてないよりやわ
(良い後継ぎ候補を見付けて来てくれて何よりだわ)」
「全くだ。
そう考ゆれば、あん300年も決して無駄じゃらせんじゃった
(あの300年も決して無駄ではなかった)」
御互いに微笑み合いながら領主夫妻。
陸攻の預かり知らぬ所で、1つの思惑が進行しつつあった。
テ領主夫妻は知る由もない。
陸攻の預かり知らぬ思惑が、もう1つ生まれようとしている事など……
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