夢幻(ゆめ)と真実(げんじつ)の狭間で。

2/7
前へ
/299ページ
次へ
 沖縄県龍南郡符礼亜村出身。 尋常小学校3年の時、家族でアメリカ合衆国ハワイ州に移民する途中に豊國丸… 乗っていた船が遭難し、今居る世界…ル王国タダッピレー大砂漠に漂着。 父及川郷四郎と母サトそして兄悟とは、あの日船内で別れてから今に至るも会えないままだ。 悟には散々にいじめられたが故に、正直自分の兄だ等とは思いたくないし尚且未だに信じられない。 だが人とは何とも勝手なもので、いざ居なくなってみると極々僅かとは言え寂しい気持ちも無い訳ではなかった。 あの日から既に二十余年。 現在はニライカナイと呼ばれている開拓村で暮らし始め今に至る。 其が私の記憶と、妻一重が教えてくれた事柄とを組み合わせた、私及川陸攻の手荒く簡単な履歴であった。 しかし腑に落ちない… 御近所の1人で一重の親友でもあるシャロン=プルミエさんは何故、一重と顔を会わせる度に必ずと言って良いほど口論を始めるのだろうか? ニライカナイ魔法陸戦隊副長という要職に在り、一重とは上官と部下という間柄である故と考えれば一応の納得は行くのだが。 そして、腑に落ちないと言えばもう1つ。 週に一度イアンヴェから訪ねて来るキャラバンの人々は何故、私をダイイと呼ぶのだろう? 中學校で教わった英語に拠るとdieとは死という意味の言葉。 悪名高きテ領で発明された新型の呪術でなければ良いのだが。 新婚早々死死死等と連呼されるなど、縁起悪い事この上無い…
/299ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加