夢幻(ゆめ)と真実(げんじつ)の狭間で。

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! まさか、悟のフリムン(バカ)とその取り巻き共の差し金か? いや、幾ら何でも其は有り得ない。 何故ならあのフリムンとは、移民船豊國丸が那覇の港を出て以来、一度も顔を会わせていないのだから。 あのフリムンの悪行を思えば、スーとアンマーと同じ世界に行けたとはどうしても考えられないのだ。 異郷の地すなわち及川家の威等全く通用しない場所に赴く事に恐れをなし、豊國丸が那覇の港を離れるや臆病風に吹かれ大慌てで海に飛び込んだのかもしれない。 其とも、とうの昔に海の藻屑になっているのだろうか? 人の事をやれクズブタだの奴隷だの価値がないだの家畜だのと散々に罵った上に、私のKAをカタブイカタブイと囃し立てては勝ち誇っていた悟。 その癖自分は… やれやれ、何とも意気地の欠片もない腑抜けではないか。 カタキラウワ(片耳豚。奄美大島や沖縄で言い伝えられている、とてもとてもオソロシイまじむん)に股を潜られても、あそこまで腑抜けにはなるまい…
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