夢幻(ゆめ)と真実(げんじつ)の狭間で。

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「あなた? あなた起きて。 ピエールさんは時間に厳しいのよ?」 一重の呼び掛けが私を夢から覚まし現実に引き戻す。 ピエール=プルミエさん。 私の勤務先ウ子ヒ発電所の責任者で、私の上役であるのと同時に仏国語の先生でもある方である。 プルミエの姓が示す通り彼はシャロンさんの父上で、彼の父上すなわちシャロンさんの祖父ジャンポール氏はパリ大学校卒。 その高学歴を評価されたのか、ジャンポール氏はニライカナイのツカサ(リーダー・指導者。琉球弁)の1人である。 !? 何故だろう? ジャンポールさんをツカサと呼ぶ度に 『アホ! ボケ! カス! ついでにクマ! 御世話になっとうお人をあないなクソダメ、否、クソダボと一緒にすな! 肥溜めに落っこちて、世界一キレイな肥ダーメになりたいんかい!』 …と、脳内のみとは言え関西弁の叱責が轟くのは。 ! もしや私が忘れているだけで、かつて手荒く御世話になった関西出身の上役若しくは同期がいるのだろうか? 何故なら、夢の中とは言えアホだのボケだの言われても、全く腹が立たない処か暖かみを覚えるのだ。 そう、まるでそう言われる事が極々当たり前であり、自分が其を快く受け入れているかのように。
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