夢幻(ゆめ)と真実(げんじつ)の狭間で。

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 話は変わるが、間も無くニライカナイにトラン… 路面電車が登場するという。 此はツカサの1人… うっ! 何故眩暈が!? やむを得ない。 朝っぱらから眩暈の波状攻撃を受けては堪らないから、以降は先生と呼ぶ事にしよう。 古葉一将(こば=いちお)先生は元沖縄県営鐵道の課長であった方。 とある金持ち… 恥ずかしながら私の伯父らしい某陸軍将校と揉めたばっかりに有らぬ濡れ衣を着せられた上に職場を追われ、一家で移民する破目になってしまったという。 一重からそう聞かされるや申し訳ない気持ちで一杯になった私だが、私が及川家の者と知っても 「君が私に何をした? 伯父は伯父、君は君ではないか。 そんな事を気にする暇があったら、一重ちゃんを幸せにする方法を考えなさい。 大事にするんだぞ?」 …と言って、笑って済ませて下さったのだ。 尚、古葉先生は私と一重の仲人を務めて下さった方でもあったりする。 話をトランに戻そう。 鐵道員でもない私がトランを気にしている理由は3つ。 まず、トランはウ子ヒ発電所の余剰電力を活用して運用される予定なのだが、私が発電所側の担当者に大抜擢されたこと。 ニライカナイが大魔女、否、誇大妄想魔女ドエス率いるテ領魔法匪賊団の襲撃を受けた際負った傷が元で長らく昏睡状態が続いていた私を発電所側の担当者に大抜擢して下さった古葉先生。 そして、君なら立派に勤まると太鼓判を捺して下さったピエールさん。 このお二方には手荒く感謝している。
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