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不死魔術師ステルゲンに対する陸攻の読みは、半分ハズレで半分当たりといった処であろう。
ハズレの部分は、自慢のアンデッド軍団を極めて短時間で全滅させたクラカヂール攻撃ヘリがトラウマとなり、今のところ報復の報の字すら考えていない事。
当たりの部分は、人目につき難い場所に潜伏し逆襲のチャンスを窺っている事である。
「カカカ…
遥か昔の事とは言え、今更血筋が役に立つとはナ」
ほくそ笑みながら不死魔術師ステルゲン。
彼が転移魔法を使って逃げ込んだ場所は代々のテイルウィップ領主が眠るテイルウィップ一族の霊廟。
余程夜目の利く者でもない限り真っ暗闇そのものである空間も、アンデッドの王である彼にとっては普通の生活空間と何等変わりない。
「カカカ…
邪魔者を片付けてくれたリクオ=イッシキとか言う人族には、礼と勲章位はやらねばならんナ。
親不孝者のアメジスト。
サディスの糞女。
そして勇者被れのパルーニアのキチガイ女メ。
娘だから、孫の友達だからと手加減してやれば図に乗りおっテ…」
ニヤリと不敵に下顎を弛めながらステルゲン。
先述の言葉から、彼がイラブー奪還作戦の結果を何等かの形で既に存じている事。
そして、ドエス一味が彼の正体を未だ知らないことが窺えた。
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