波及。

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 ルー帝国が三大国の地位から転落した理由は、偏に戦略兵器Xの暴走に端を発した旧王都壊滅事件が引き金となり、次々と内戦が勃発し国内情勢が一時期混乱の極みにあったからである。 戦略兵器Xの暴走そして旧王都壊滅から既に1世紀余り。 ルー帝国正統政府を名乗る組織こそ辛うじて残ってはいる。 だが、混乱を治めつつ抜け目なく勢力を拡大する形となった3つの辺境が事実上の独立国となりつつある今、ルー帝国は帝国とは名ばかりの一小王国にまでその勢力範囲と支配力そして権威と求心力迄もが墜ちてしまっているのだ。 その証拠に今や殆どの者がルー帝国ではなくルー王国と揶揄して呼び、きちんと帝国と呼んでいるのは僅かに残る勢力範囲を牛耳る王公貴族や役人、そして好機と有らば治安維持を口実に武力進駐を狙うガ帝国そしてカ帝国の外交要員位のものである。 300年ぶりに領主としての活動を再開してまだ間もないテ領主シゲヒサ=テイルウィップ曰く、あの頃の日ノ本に何処か似ているそうであった。
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