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同じ事柄でもその人その人に拠って捉え方が異なるのは、此方の世界も彼方の世界もそうそう変わらない。
一式ペアにとっては困惑千万尚且手荒く歯痒い陸攻の記憶喪失。
だが、一重にしてみれば、其は百利あって一害なしなのだ。
何しろ今の陸攻は、昭和3年以降の体験を理屈限定とはいえ其の九割方をロクに思い出す事が出来ないのだから。
面と向かって指摘しようものなら十中八九一重は気分を害するであろうが、良くも悪くも彼女次第なのである。
「一重ちゃん。
僕は何故関西弁がスラスラと分かるのかな?
一度も行った事がないのに…」
一重と向かい合って朝食を摂りながら陸攻。
ニライカナイが砂漠地帯のど真ん中に存在するにも関わらず少なくない数の生鮮野菜や温野菜が食卓に並んでいるのは、つい最近迄砂漠船団と敵対関係にあったテイルウィップ領との講和が成立し、新たな食料入手ルートが開拓されたからである。
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